FAS133

外貨建純投資ヘッジ

1.外貨建純投資ヘッジとは

為替レートの変動により為替調整勘定(資本の部に包括利益として計上)が変動するリスクを有する外貨建純投資に対するヘッジ

2.何がヘッジ対象か?

外国通貨で財務報告が行われる(=機能通貨が外国通貨)投資で、自国通貨への換算の際、為替換算調整勘定(Translation Adjustment)が算出され包括利益となる(FAS52による)ものが対象となる。包括利益が増減するということは、貸借対照表上自己資本額が増減することを意味しており、この点でこれをヘッジしようとする動機が生じる。なお、ここでいう投資とは以下のようなものを意味している。

子会社
事業部門
支店
ジョイントベンチャー
持分法で処理される持分証券

3.ヘッジ手段

ヘッジ手段としては、外国為替関連のデリバティブ(通貨スワップ・為替予約等)に加えて、デリバティブ以外の外国通貨建て金融商品(例:外貨建て債務)もヘッジ手段となりうる。

4.外貨建純投資ヘッジの要件

ヘッジ指定されていること
ヘッジが外貨建純投資のヘッジとして有効であること

5.外貨建純投資ヘッジの会計処理

ヘッジ手段の損益のうち、ヘッジの有効性が認められる部分については、為替換算調整勘定で処理される。この結果ヘッジ対象の純資産からの為替換算調整勘定の増減を相殺することになる。
関連:外国為替予約取引(Foreign Currecy Forward Contract)のプレミア・ディスカウントについて

6.外貨建純投資のヘッジにおける"ヘッジが有効でない部分"

上記の通り、ヘッジ手段の損益のうち"有効な部分"は為替換算調整勘定で処理するが、"有効でない部分"は損益認識する必要がある。この点、"有効でない部分"をどのように判定するか基準では明確に言及していないが、以下のような場合のみ、"有効でない部分"があると考えればよいと言われている(逆に言えばこれ以外は完全に有効であると考えることができる)。

ヘッジ手段の想定元本が純投資額と一致しない場合
ヘッジ手段がアンダーライングしている為替が、自国通貨と純投資についての外貨(=純投資の機能通貨)の為替でない場合
ヘッジ手段のデリバティブが複数のキャッシュフロー変動要因を有するようなもの(変動・変動の通貨スワップ等)である場合