FAS146
撤退・除却活動に関連する費用の会計処理
FAS146「撤退・除却活動に関連する費用の会計処理(Accounting for Costs Associated with Exit or Disposal Activities)」は2002年7月30日付けで発行された基準です。

この基準は事業撤退・除却業務に関連する費用を、事業撤退や除却の意思決定を行った時点ではなく、それが発生した期に認識することを要請する基準です。当基準が対象とする費用の例としては、リストラクチャリング、非継続事業、プラント閉鎖、あるいは事業撤退・除却活動に関連して生ずる、リース契約の解約料あるいは従業員の退職費用があげられます。

これらの費用に関する従来の基準は、EITF94-3でしたが、FAS146はこれに取って代わるものです。なお、従来の基準では上記のような費用は事業撤退・除却に関する意思決定が行われた期に計上するものとされていました。

このように事業撤退・除却関連の費用の計上時点の考え方が変更されたわけですが、これは、「債務は他者に対する義務(Obligation)をあらわすものであるが、事業撤退・除却といった意思決定を行ったこと自体では、このような他者に対する義務が生じるわけではない」、という考え方にもとづくものです。

最近、米国の会計において、リストラクチャリングを行う企業が必要以上にリストラ関連費用を計上することによって、翌期以降の業績をよく見せようとする傾向が批判されていましたが(いわゆるV字型回復)、この変更はそうした批判に答えたものといえます。

この基準は2003年1月1日以降に開始された撤退・除却活動に関連する費用に適用されます。