日米会計の差異1
年金会計の日米差異

日本でも退職給付会計が2001年3月期より導入され、実質的に米国基準(FAS87)との差異はなくなったと考えられています。しかし、両者を比較してみると以下のようなマイナーの差異が見受けられます。

数理差異の償却 US基準では、いわゆるコリドールアプローチが採用されていますが、日本では原則ただちに償却の対象となります。ちなみにコリドールアプローチとは数理差異の残高がある一定の幅にある限り償却しなくともよいというものです。
移行時差異の償却 FAS87では従業員の平均残存勤務期間に渡って償却することとされています。ただし、当該期間が15年未満である場合、15年で償却することができます(Par.77)。文面上からは日本基準のように適用年度一括費用処理はできないように読めますが、米国の企業の多くはかなり短期間で償却を完了しているようであり、実務的には監査上も認められているようです。結果的にUS基準の方が長い期間を設定できます。なお、FAS87導入時米国は不況でSEC登録会社が負担に耐えられないため、期間を長く認めることになったという経緯があるようです。
最小負債の計上 US基準ではB/S計上額はABOをベースとした最小負債(ABO−年金資産)以上負債計上することが求められます。FAS87ではこのための調整として無形固定資産(過去勤務費用未償却残高が上限)が計上されます。なお、調整額が無形固定資産計上可能額を超過する場合は資本科目(マイナスの資本科目)を計上します。


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