IAS39の要約

General

当基準は金融資産、負債の認識、評価及び開示に関して規定するものであり、ヘッジ取引についても対象としている。なお当基準は200111日以降開始の年度から適用される。


個別事項

@ デリバティブを含む全ての金融資産・負債は貸借対照表上認識される。これらについては、当初は取得原価(金融資産・負債を取得するための支払・受取の公正価格)で評価される。
A 有価証券の通常の市場からの取得は約定日あるいは受渡日に認識する。受渡日基準によった場合は、約定日から受渡日の間の価格変動を認識する
B 付随費用は当初評価額に算入する。
C 全ての金融資産・負債は事後的に時価で評価される。ただし、償却コストで計上される以下のものは除く。

a)      トレーディング目的以外で保有する貸出金、債権

b)     満期保有目的の債券、優先株式

c)      信頼おける時価が入手不可能な金融資産

D トレーディング目的以外で保有する貸出金、債権については償却コストから毀損額、回収不能見込額を差し引いた額で評価される。なお、これらの資産については満期まで保有する意思を証明する必要はない。
E 以下に状況にひとつでも合致した場合、債券を満期まで保有するとは認められない。

a)      当該債券の保有期限が未確定な場合

b)     もし、市場金利の変動、資金ニーズ、他の投資商品の利回りの変動、資金調達状況の変化あるいは、為替リスクの変化に対応して、当該債券をいつでも売るつもりがある場合

c)      当該債券の発行体が償却コストよりも著しく低い金が行くで償還できる権利を有する場合

F 満期保有目的に区分されていた債券を期限前に売却した場合、その後2年間は満期保有目的に債券を分類できない。
G 通常、金融負債は当初価額から元本支払額及び償却額を控除した額で評価され、デリバティブ及びトレーディング目的の金融負債のみが時価評価の対象となる。
H 時価評価の対象となる金融資産・負債の評価差額については次のうちどちらかを選択することができる。

a)      全ての評価差額のネットの金額を損益認識する。

b)     トレーディング目的で保有する金融資産・負債の評価差額は損益認識し、それ以外の評価差額については実現するまで資本の部に計上する。なお、デリバティブについてはヘッジ会計の要件を満たすもの以外は、つねにトレーディング目的として扱われる。

I 金融資産について、回収見込額が帳簿価額よりも下回る場合は毀損額として損失を認識する必要がある。
J 金融資産の移転を認識するためには以下の条件を満たす必要がある。

a)      譲受人が当該金融資産を売却あるいは担保に供する権利を有する

b)     譲渡人は当該金融資産を再取得する権利を有していない(ただし当該金融資産が市場で容易に取得できる場合、あるいは再取得価額が再取得時の市場価額による場合は、再取得の権利を有していてもよい)

K 金融負債の消滅を認識するためには、主たる債務者としての義務から法的に免責されなければならない。
L 金融資産・負債が部分的に売却あるいは消滅した場合は、帳簿価額を時価をベースに按分する。
M 債務者が債権者に対して担保を提供する場合において、もし債権者が制限を受けず当該担保資産を売却あるいは再担保に供することが許されていれば、債務者は当該担保資産を受取債権として認識し、債権者は当該担保資産を資産計上したうえで、担保返還義務を債務認識する。
N 会計上のヘッジとは、デリバティブあるいはデリバティブ以外の金融商品をヘッジ対象の時価あるいはキャッシュフローの変動を相殺するものとヘッジ指定することをいう。ヘッジ対象としては時価あるいはキャッシュフローの変動リスクにさらされる資産、負債、ファームコミットメントあるいは予定取引がある。
O ヘッジ会計適用が認められるのは、ある特定のヘッジ手段を特定されたヘッジ対象の時価あるいはキャッシュフロー変動のヘッジとして指定した場合のみであり、貸借対照表のネットポジションのヘッジは認められない。
P 予定取引に係るヘッジ手段の評価差額は(予定取引が実行され)取得した資産・負債の当初取得額の調整額に織り込まれる。
Q IAS39適用開始時の時価への調整額は当該期の損益として認識する。