米国会社設立−LLC









LLCとは何か
LLCは比較的最近できた企業形態です。現在では米国の全州でLLCの制度があり、デラウエア州でも1992年にLLCの制度が創設されています。通常のCorporationの所有者が株主(Shareholders)なのに対して、LLCの所有者はメンバー(Members)と呼ばれます。またCorporationの取締役(Directors)に相当する経営者はマネージャー(Managers)と呼ばれます。LLCは通常のCorporationと同様に法的に独立した存在で、メンバーあるいはマネージャーはLLCの債務について、個人的に保証をしている場合等を除き、責任を負うことはありません。メンバーはLLCへの出資額を限度として責任を負うだけですが、これが有限責任といわれるものです。

デラウエア州では、非居住者がメンバーあるいはマネージャーになることに制限がありません。またメンバーがマネージャを兼ねることもできます
連邦税務上の位置づけ
近年起業したばかりの小規模事業においてLLCが多く活用されるようになっていますが、その大きな理由は税務上のメリットです。LLCは上記のとおり有限責任という点では通常のCorporationと同じですが、税務上は選択によりパートナーシップとして扱われることを選択できるのです。この意味は、LLC自体が課税主体とならずに、そのメンバーが個々にLLCの所得の按分額を自らの所得と合算して課税されるということです(これはパス・スルーと呼ばれます)。この点からLLCはCorporationとPartnershipの両方の長所を併せ持った企業体であるという言い方がされることがあります。
米国非居住者にとってのメリット−合法的に米国連邦税が回避できる!
ヨーロッパをはじめとして米国外の居住者が自らの国際タックスプラニングで、デラウエア州のLLCを活用する例が多く見られます。上記のとおり、LLCは課税主体とならないことを選択できますが、その場合各メンバーが自らの所得として申告・納税することになります。ここで、もしLLCが米国国内で事業を行わず、また米国源泉の所得がなければ、非居住者は米国連邦税を一切負担しないですむことになります。なぜなら非居住者の米国外の所得は連邦税の課税対象ではないためです。これは合法的な連邦税の回避となります。この点、Corporationの場合と比較するとより明らかです。米国非居住者が所有するCorporationが米国外でのみ事業を行っていたとしてもその所得は米国連邦税の課税対象となります。米国外で支払った外国税額を控除することで米国での納税額が結果的にゼロになったとしても、全所得が課税対象であることには違いがありません。その点、LLCの場合は米国外での所得はそもそも連邦税の課税対象外なのです。

米国の会社形態のひとつとしてLimited Liability Company(略してLLC)と呼ばれるものがあります。これはCorporationのように有限責任を有する一方、税務上はパートナーシップとして扱われることを選択できる会社形態です。非居住者がLLCを活用して米国国外で事業を行う例が多くみられますが、この大きな理由は、米国連邦税を合法的に回避できる、という点にあります。