米国会社設立−設立のメリット










ビジネスを行うにあたり会社形態で行うことのメリット
  • 個人事業より会社形態で事業を行う方が対外的な信用面で有利です。例えば、取引相手が、「O野X男さん」より「O野商事株式会社」の方が信用が得られるのではないでしょうか。
  • 有限責任であり、株主個人の責任は出資額に限定されます(<注意>参照)
  • 事業の継承が容易です。
  • 事業を拡大する場合、外部から出資をつのり資本の増強を図ることができます。究極的にはIPO(株式公開)を行い資本を増強し、かつ創業者利益を得ることもできます。
<注意>以上は一般的に事業を法人格で行う場合のメリットとして説明されるものですが、念のため以下の点には注意しましょう。
  • 有限責任に関してですが、これは、会社は会社自身の財産を限度としてその債務について責任を負う、また株主は資本金として払い込んだ金額を限度として責任を負うということです。しかし、そもそも財産を十分に有していない会社に信用を供与する人がいるでしょうか?例えば銀行は財産を十分に保有していないような新設会社に貸出を行うことは考えられません。なぜならその貸出は会社の財産がなくなってしまった時点で(有限責任制度のもとでは)まったくの回収不能となるためです。従って、このような場合必ず株主・経営者の個人保証を求められることになります。この結果、株主は会社債務について無限に責任を負うことになります。別の言い方をすれば、会社の有限責任のメリットがなくなってしまうというわけです。ただし、たとえば会社が訴訟を受け多額の損害賠償を科せられたような場合は、有限責任のメリットは十分に生きてきます。訴訟大国のアメリカで個人事業者が法人設立を考えるひとつの大きな理由は、訴訟から自分の個人財産をプロテクトするという点にあります(なお、この点いわゆる法人格否認の法理に気をつける必要があります)。
  • 個人事業から会社にすると(法人成り)税金が安くなる、と言われることもありますが、これは一概にはいえないところです。もちろん結果的に有利になることもあります。
日本の会社でなく米国の会社を設立するメリット
  • 設立自体が簡単に、かつ手軽に行えます。
  • 初期投資が少なくてすみます。日本では株式会社で1,000万円、有限会社で300万円の最低資本金を払い込まなければ会社を設立できません(合名会社・合資会社という会社も存在しますが、マイナーな存在なのでここではとりあえず無視します)。これに対して米国では最低資本金のない州があります。例えば初期投資がそれほどいらないビジネス(例えばインターネットを利用したSOHOビジネス)を行おうとする場合でも、日本での会社設立のためには、その不要な資金をかき集める必要があります。
  • 日本支店を開設することで、日本国内でも、日本の株式会社等と同様に法人格を取得することができます。言い換えれば、日本国内でも会社として活動できるわけです。
  • 米国会社を設立して、米国国内に銀行預金を開設すると、インターネット上でクレジットカード決済が可能になる途が開けます。インターネットビジネスはその簡便性がうりなわけで、クレジットカード決済はビジネス成功のための重要な要素になります。
  • 事業を米国を始めとして海外まで広げる場合、米国法人は対外的な信用面で有利です。また、将来的に、米国において、ベンチャーキャピタルからの出資を受けるということも考えられます。さらに究極的にはナスダック等への公開といったところでしょうか(なお、これに関して言えば米国IPO(株式公開)のためには必ずしも米国法人である必要はありませんが…)。
<注意>以上は一般的な米国法人設立のメリットとして説明されるものですが、念のため以下の点には注意しましょう。
  • 米国の中でも、所得税の安い(あるいはまったくない)州で会社を設立すると税金面で有利と考えてしまいそうですが、仮に日本で事業を行うとすると、日本で株式会社・有限会社を設立して事業を行う場合と全く同じ日本の税金が課せられてしまいます。従って、このような場合税金の面でのメリットは全くありません。むしろ州によってはフランチャイズTaxというものが所得に関わらず課せられるため、むしろ不利になるケースが多いぐらいです。なお、州税については各々の州でまったく異なりますので十分な検討が必要です。

たとえ、日本国内だけでビジネスを行う場合でも、「米国で会社を設立し日本でその支店を開設する」というスキームは一考の余地があります。なぜでしょうか。
ここでは、
@ビジネスを行うにあたり会社を設立するメリット
A会社を設立する場合、日本の会社でなく米国の会社を設立するメリット
を列挙していきます。
なお、米国で会社を設立する場合、どの州で設立するかを決めなければなりませんが、特に米国国内・国外を問わず人気のあるデラウエア州に会社を設立するメリットについては“デラウエア州について”にまとめてあります。