米国会社設立−設立・運営のコスト









設立時・初年度のコスト

会社設立時及び初年度に要するコストを設立の手順にそってまとめると以下のようになります。
なお、以下で「登録代行業者」というのはデラウエア州に登録している現地の代行業者を指します。

項目 どういうものか?また
どういう場合に必要か?
誰がやってくれるのか 費用のだいたいの目安
基本定款(Certificate of Incorporation)の作成 会社設立のためには不可欠で、これを州に届け出ると会社は成立する。 基本定款自体の作成は難しいわけではなく、自分自身でもできないことはないが、通常は登録代行業者に依頼する。 通常、基本定款の作成と州の登録費用がセットになっており、金額は100ドル程度
州に対する登録費用の支払い 上記基本定款を届け出るときに州に支払う登録料。74ドルから。
初年度のRegisterd Agent費用 デラウエア州では必ず州内の住所を登録する必要があるが、通常は現地の登録代行業者の住所を使用することになる。このAgent費用は住所の貸与と州政府からの郵送物の転送に対する費用である。 登録代行業者に対して支払う 90ドルから120ドル程度(設立費用に含んでいる業者もある)
コーポレートキットの購入 通常、株券(15枚程度)、議事録ファイル、コーポレートシール(日本の印鑑みたいなもの)、付属定款(By-Law)及び議事録のサンプル等が入っている。設立自体には不要だが、会社を運営するためには必要。 登録代行業者から購入する。会社名を入れたファイルに閉じて送ってくれる。 だいたい100ドルから150ドル程度
雇用者IDの取得 米国法人は、所得の有無あるいは所得の源泉地に関わらず、連邦法人税の申告を行う必要があるが、雇用者IDはその際に必要なものである。会社を設立した後にIRSから取得する。また、これは銀行口座を開設する際にも必ず必要とされる。 IRSに対してSS−4というフォームを提出して取得する。自分でもできるが、代行業者によってはやってくれるところもある。 もし、代行業者に依頼すれば、30ドルから60ドル程度
法人設立証明書の取得 他の州あるいは他の国で事業を行う際の登録・登記申請に必要。 通常代行業者に依頼する。 50ドル程度
設立総会の開催及び議事録作成 設立後、まず設立総会を開催して取締役の任命を行う必要があります。なお、設立総会、株主総会、取締役会はすべて議事録を残す必要があります。 自分で行う。作成はサンプル等を参考にして行うとよい。 自分でやるため費用はかからない。もちろんだれかに議事録作成を依頼すれば費用が発生する。
付属定款 (By Law)の作成 会社の運営方法を定めた付属定款を作成しなければならない。 自分で行う。作成はサンプル等を参考にして行うとよい。 自分でやるため費用はかからない。もちろんだれかに作成を依頼すれば費用が発生する。
資本金の払込 デラウエア州では最低資本金払込の規定はないものの、実際営業を開始するためには資金が必要であり、そのため資本金の払込を行う。 自分で払込み、株式を発行する。 任意の払込額
銀行口座の開設 クレジットカード決済代行サービスを利用する場合など、法人名義の銀行口座を開設する必要がある。 代行業者が代行してくれる場合もある。米国での法人名義の口座開設は、本人が出頭しない限り難しくなってきているという話もあり、現在でも代行による開設が可能かどうかは不明。 ある代行業者は400ドルで開設代行をオファーしている。
会社設立関係書類の翻訳 仮に日本で営業所登記を行う場合に必要 自分でやるか、もしくは翻訳会社あるいは日本の会社設立代行業者に依頼する。 日本の米国会社設立代行業者のパッケージに含まれていることが多い。
日本での登記費用 日本で営業所登記を行う場合に必要 自分でやるか、もしくは日本の会社設立代行業者に依頼する。 登録免許税として9万かかる。また社印の作成も必要。上記の翻訳等も含めてすべて代行してくれる日本の米国会社設立代行業者もある。

なお、日本の海外会社設立代行業者によっては、米国会社の設立から日本法人開設までをパッケージ化してすべて代行しているところもあります(もちろん何が含まれていて何が含まれていないのかを確認することは必要でしょう)。費用は全部で20万円から50万円となっているようです。日本の設立代行業者の価格比較

設立次年度からのコスト
項目 どういうものか?また
どういう場合に必要か?
誰がやってくれるのか 費用のだいたいの目安
Registerd Agent費用 デラウエア州では必ず州内の住所を登録する必要があるが、通常は現地の登録代行業者の住所を使用することになる。このAgent費用は住所の貸与と州政府からの郵送物の転送に対する費用である。 登録代行業者に対して支払う 90ドルから120ドル程度
デラウエア州の州税 デラウエア州では営業活動を州外でのみ行う場合は、州の法人所得税が課せられません。そのかわり登録手数料50ドルを毎年払う必要があります。 登録代行業者が支払い代行してくれる。 50ドル。通常、支払代行料は上記のAgent費用に含まれている。
連邦税の申告 米国法人は、所得の有無あるいは所得の源泉地に関わらず、連邦法人税の申告を行う必要がある。 通常は米国の会計事務所あるいは会計士に依頼する。 事業の規模等でさまざま。もし、事業がSOHOレベルであれば、だいたい最低で1,000ドルぐらいから。
連邦税の納付 連邦税が発生すれば納付する必要がある。 自分で支払い手続きを行う。 課税所得による。仮に、日本国内のみで事業を行っているとすれば、会社全体として所得が生じても日本で支払った法人税等を外国税額控除できるので、米国の連邦税は発生しない可能性が高い。
銀行口座の維持手数料 銀行口座を開設した場合、通常口座維持手数料が生じる。 口座残高から差し引かれる。 銀行によってさまざま。
会計記録の記帳 会計記録の記帳は必須である。少なくとも課税所得の計算には不可欠。 自分で行うか、会計事務所等に依頼する。 もし、会計事務所に依頼すれば当然費用は発生するが、費用はさまざま。
郵送物の転送サービス もし、デラウエア州の登録代行業者の住所を営業で使用する場合、届いた郵便物の転送を依頼する必要がある。また、電話・FAX等の転送サービスを行っている業者もある。 代行業者に依頼する。 だいたい最低で50ドル程度から。転送の頻度・量によっては価格は高くなる。
株主総会・取締役会の開催・議事録作成 少なくとも年に1回の株主総会、また付属定款の定めに従って取締役会を開催し、その議事録を作成する。仮に株主・取締役すべて一人の場合も、こうした形式の遵守は必要。形式が不備だと法人格否認の法理が適用されることもある。 自分で行う。作成はサンプル等を参考にして行うとよい。 自分でやるため費用はかからない。もちろんだれかに議事録作成を依頼すれば費用が発生する。
日本の税金の申告 もし、日本で営業所を開設した場合、法人税・住民税・事業税などの申告書が必要。 通常は会計事務所あるいは税理士・会計士に依頼する。 費用はさまざま。だいたい10万円程度から。
日本の税金の納付 法人税・住民税・事業税等が生じれば納付しなければならない。 自分で支払い手続きを行う。 課税所得による。なお、住民税については課税所得の有無にかかわらず発生する税額がある(均等割)。

アメリカで会社を設立するのは簡単で、しかも200ドル以下で設立自体は完了します(仮に全てを自分でやるとすると最低でなんと74ドルで会社の設立は可能です)。

とはいうものの、現実的には会社設立代行業者に依頼し代行料を払うほか、付随する諸費用を払い、設立後も継続的にいろいろ費用が発生します。従って、単純に設立自体の費用だけでなく、付随する費用及び設立後の費用も検討しておく必要があります。

なお、以下はすべてデラウエア州を前提としています。