デラウエア州で会社を設立するメリット
デラウエア州は他の州と比較して次のようなメリットがあります。
最低資本金の制度がありません。州によっては設立にあたり最低払込額(例えば500ドル等)が定められているケースがあります。
デラウエア州内で事業を行わない限り、州の法人所得税は課税されません。当たり前のようですが、多くの州(例えばNY州)では自分の州で設立された会社の所得(それが自分の州内の事業からのものかどうか問わず)については州の所得税が課税されます(厳密にいれば全所得のうち、自分の州に帰属する分を按分します。なお、この按分計算は各州によってまちまちです)。デラウエア州では、その代わり毎年手数料(State
Fee)を払えば足ります。なお、手数料はCorporationで50ドル、LLCで100ドルとなっています。
ビジネスの拠点を州内に設ける必要もなければ、会社の帳簿・記録を州内に保管する必要もありません。例えば、会社の帳簿・記録を日本国内で保管することができます。州によっては帳簿・記録は州内に保管する必要があるところもあります。
財務情報あるいは株主の情報を州に報告する必要がありません。毎年、単にディレクター及びオフィサーの氏名のみを報告すればたります。この結果州当局は誰が株主なのか決してわからないようになっています。
一人の人間が、プレジデント・トレージャー・セクレタリーを兼務することができる。他の州ではそれぞれ別の人間を割り当てる必要があるところがあります。
ディレクター(役員)は一人でもかまいません。また、特別なディレクター保護の規定があり、ディレクターの個人的な責任は問われないようになっています。
以上は、例えば日本居住者がアメリカに会社を設立し、日本国内から会社をコントロールしようとするケースにおいてのメリットですが、全米の著名大企業がこぞってデラウエアを会社設立の場所としているのは、実は次のようなメリットがあるからです。
デラウエアの会社法は非常によくできており、また会社にとって非常に使い勝手がよい内容となっています。たとえば、企業買収やリストラクチャリング等の複雑な取引が機動的に実施できるようになっています。
デラウエアには企業関係の紛争を処理する "Court
of Chancery(衡平裁判所)"があります。この裁判所は会社法の領域で200年を越す歴史を有しており、裁判が迅速に行われるうえに、その会社法・破産法の専門性については広く知れらているところであります(全米のロースクールでもこの裁判所の判例がよく授業の題材となるとのことです)。このため、判例も豊富で、企業からしてみれば、法的安定性の面で自らの法務リスクの低減が図れるわけです。これは非常に大きなメリットとなっています。