外国法人が日本国内でなんらからの所得を得た場合、それが日本でどのように課税されるかは以下の手順で検討します。 @所得税課税を受けるか?【原則】 所得税法第5条第2項によると、外国法人は国内源泉所得のうち第161条第1号の2〜7号又は第9号〜第12号に掲げられるものの支払いを受けるときは所得税を納める義務があるとされています。所得税の対象となる所得は以下の通りです。
また、所得税法第212条第1項によると、外国法人に上記の国内源泉所得を支払う者は上記の税額を源泉徴収する義務を負います。つまり、外国法人は支払いを受ける時点で税額を差し引かれてしまうことになります。 A法人税課税を受けるか?【原則】 恒久的施設(PE)には3種類あり、1号PE(支店)、2号PE(建設PE)及び3号PE(代理PE)と呼ばれます。1号〜3号とは法人税法第141条の1号〜3号に規定されていることからそう呼ばれています。ちなみに、1号の恒久的施設は「国内に支店、工場その他事業を行なう一定の場所」と定義されています。外国法人は日本に有している恒久的施設の種類(1号〜3号)によって法人税の対象となる所得が異なってきます。ただし、1号PEの場合は、その全ての国内源泉所得が法人税の課税対象となります。ある所得が法人税の課税対象となる場合で、それが所得税課税(源泉聴取)をすでに受けている場合は法人税の課税額からその所得税額を控除することができます(所得税控除制度)。 B租税条約による修正の有無検討対象としている外国法人の居住国と日本との間で租税条約を締結している場合は、上記で検討した結果が租税条約により修正されないか検討する必要があります。というのは、条約の規定は国内法に優先するため、双方が異なる場合は租税条約の規定が適用されるからです。例えば、外国法人が米国法人で、かつ日本に恒久的施設を有していないケースで、日本国内源泉の貸付金利子を受け取った場合、日本の所得税法上は20%の源泉徴収を受けることになりますが、日米租税条約により源泉徴収は10%に軽減されます。これは税率軽減のケースですが、日本の法人税・所得税法上の国内源泉の定義と日米租税条約での定義が異なる場合もあります。例えば貸付金は日本の税法上は使用地主義(貸付けられた資金が使用された場所)を採用していますが、日米租税条約上は債務者主義(借入人の居住地)が採用されています。このような場合は日本の税法では国内源泉でも、課税関係は日米租税条約に従い国外源泉として処理されるケースが生じます。 |