金融商品に係る会計基準

第二 金融資産及び金融負債の発生及び消滅の認識

一 金融資産及び金融負債の発生の認識

 金融資産の契約上の権利又は金融負債の契約上の義務を生じさせる契約を締結したときは、原則として、当該金融資産又は金融負債の発生を認識しなければいけません。(注3)

実務指針7 商品等の売買又は役務の提供に係る契約
実務指針22 有価証券の売買契約の認識
実務指針26 貸付金及び借入金の認識
実務指針27 有価証券の消費貸借契約・消費寄託契約
実務指針28 自由処分権を有する担保受入金融資産の認識
実務指針29 当初認識時の測定
実務指針129 現先取引及び現金担保付債券貸借取引の会計処理

二 金融資産及び金融負債の消滅の認識

金融資産の消滅の認識要件

 金融資産の契約上の権利を行使したとき、権利を喪失したとき又は権利に対する支配が他に移転したときは、当該金融資産の消滅を認識しなければなりません。

 金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転するのは、次の要件がすべて充たされた場合とします。

(1)

譲渡された金融資産に対する譲受人の契約上の権利が譲渡人及びその債権者から法的に保全されていること

(2)

譲受人が譲渡された金融資産の契約上の権利を直接又は間接に通常の方法で享受できること(注4) →実務指針32支配の移転が認められる譲渡制限

(3)

譲渡人が譲渡した金融資産を当該金融資産の満期日前に買戻す権利及び義務を実質的に有していないこと →実務指針33支配の移転が認められる譲渡人の買戻権

実務指針34 割引手形及び裏書譲渡手形
実務指針36 金融資産の消滅時に何らかの権利・義務が存在する場合における「残存部分」と「新たな資産・負債」の判定基準
実務指針37 金融資産の消滅時に譲渡人に何らかの権利・義務が存在する場合の損益の計上基準
実務指針38 金融資産の消滅時に何らかの権利・義務が存在する場合における「残存部分」と「新たな資産・負債」の時価を合理的に測定できない場合
実務指針39 金融資産の消滅に伴う回収サービス業務資産又は負債の認識
実務指針40 金融資産の譲渡人が譲渡先である特別目的会社が発行する証券等を保有する場合
実務指針41 ローン・パーティシペーションのオフバランス化の要件
実務指針42 クロス取引

  金融負債の消滅の認識要件

 金融負債の契約上の義務を履行したとき、義務が消滅したとき又は第一次債務者の地位から免責されたときは、当該金融負債の消滅を認識しなければなりません。

実務指針43 金融負債の消滅の認識要件
実務指針44 金融負債の消滅時に原債務者に何らかの権利・義務が存在する場合の損益の計上基準
実務指針45 債務引渡しに係る二次的責任
実務指針46 実質的ディフィーザンスとデット・アサンプション

金融資産及び金融負債の消滅の認識に係る会計処理

 金融資産又は金融負債がその消滅の認識要件を充たした場合には、当該金融資産又は金融負債の消滅を認識するとともに、帳簿価額とその対価としての受払額との差額を当期の損益として処理します。

 金融資産又は金融負債の一部がその消滅の認識要件を充たした場合には、当該部分の消滅を認識するとともに、消滅部分の帳簿価額とその対価としての受払額との差額を当期の損益として処理する。消滅部分の帳簿価額は、当該金融資産又は金融負債全体の時価に対する消滅部分と残存部分の時価の比率により、当該金融資産又は金融負債全体の帳簿価額を按分して計算します。

 金融資産又は金融負債の消滅に伴って新たな金融資産又は金融負債が発生した場合には、当該金融資産又は金融負債は時価により計上します。