金融商品会計実務指針#114

財務内容評価法

財務内容評価法を採用する場合には、債務者の支払能力を総合的に判断する必要がある。債務者の支払能力は、債務者の経営状態、債務超過の程度、延滞の期間、事業活動の状況、銀行等金融機関及び親会社の支援状況、再建計画の実現可能性、今後の収益及び資金繰りの見通し、その他債権回収に関係のある一切の定量的・定性的要因を考慮することにより判断される。一般事業会社においては、債務者の支払能力を判断する資料を入手することが困難な場合もあり、例えば、貸倒懸念債権と初めて認定した期には、担保の処分見込額及び保証による回収見込額を控除した残額の50%を引き当て、次年度以降において、毎期見直す等の簡便法を採用することも考えられる。ただし、個別に重要性の高い貸倒懸念債権については、可能な限り資料を入手し、評価時点における回収可能額の最善の見積りを行うことが必要である。

担保には、預金及び市場性のある有価証券など信用度、流通性の高い優良な担保をはじめ、不動産、財団等処分に時間を要するものまで様々あるが、担保の処分見込額を求めるに当たっては、合理的に算定した担保の時価に基づくとともに、当該担保の信用度、流通性及び時価の変動の可能性を考慮する必要がある。なお、簡便法として、担保の種類ごとに信用度、流通性及び時価の変動の可能性を考慮した一定割合の掛目を適用する方法が認められる。

保証による回収見込額を求めるに当たっては、保証人の資産状況等から保証人が保証能力を有しているか否かを判断するとともに、個人にあっては保証意思の確認、法人にあっては保証契約など保証履行の確実性について検討する必要がある。

担保の処分見込額及び保証による回収見込額については、定期的に担保の評価や保証人の資産状況等について見直しを行う必要がある。

なお、清算配当等により回収が可能と認められる金額については、担保の処分見込額及び保証による回収見込額と同様に債権額から減額することができる。清算配当等により回収が可能と認められる金額とは、債務者の資産内容、他の債権者に対する担保の差入れ状況を正確に把握して当該債務者の清算貸借対照表を作成し、それに基づく清算配当等の合理的な見積りが可能である場合における、当該清算配当見積額をいう。