金融商品会計実務指針#152

包括ヘッジの要件

金融商品会計基準注解(注11)にいう「個々の資産又は負債が共通の相場変動等による損失の可能性にさらされており、かつ、その相場変動等に対して同様に反応することが予想されるもの」とは、リスク要因(金利リスク、為替リスク等)が共通しており、かつ、リスクに対する反応が同一グループ内の個々の資産又は負債との間でほぼ一様であることを意味するものと解される。

したがって、例えば、金利変動に伴う時価変動が生じることにおいては個々の資産又は負債が共通していても、満期日が著しく相違することなどにより、金利変動に伴う時価変動の割合が個々の資産又は負債との間で一様でないような場合には、金融商品会計基準注解(注11)の要件を満たさないので、包括ヘッジの対象として扱うことはできない。個々の資産又は負債の時価の変動割合又はキャッシュ・フローの変動割合が、ポートフォリオ全体の変動割合に対して、上下10%を目安にその範囲内にある場合には、個々の資産又は負債はリスクに対する反応がほぼ一様であるものとして取り扱う。

複数銘柄による株式ポートフォリオの時価変動を株価指数先物取引などでヘッジしようとする場合には、個々の銘柄の株価が株価指数先物価格と同様に反応するとはいえず、株式ポートフォリオは一般的に包括ヘッジの対象とはならない。