金融商品会計実務指針#156

有効性の判定基準

ヘッジ有効性の判定は、原則としてヘッジ開始時から有効性判定時点までの期間において、ヘッジ対象の相場変動又はキャッシュ・フロー変動の累計とヘッジ手段の相場変動又はキャッシュ・フロー変動の累計とを比較し、両者の変動額等を基礎にして判断する。両者の変動額の比率がおおむね80%から125%の範囲内にあれば、ヘッジ対象とヘッジ手段との間に高い相関関係があると認められる。オプション取引については、ヘッジ方針に従い、オプション価格の変動額とヘッジ対象の時価変動額を比較するか又はオプションの基礎商品の時価変動額とヘッジ対象の時価変動額を比較して判定を行う。

例えば、ヘッジ手段の損失額が80でヘッジ対象の利益額が100ならば、相殺は100分の80で80%と測定され、また、ヘッジ手段の利益額が100でヘッジ対象の損失額が80ならば、相殺は80分の100で125%と測定され、これらのヘッジ手段とヘッジ対象には高い相関関係がありヘッジは有効であるといえる。

なお、ヘッジ対象の相場変動又はキャッシュ・フロー変動の要因となるリスク要素(金利、為替、信用等)のうち特定の要素のみ(例えば、外貨建株式の為替リスクのみ)をヘッジすることを意図している場合において、変動額をリスク要素別に区分して把握できるときは、ヘッジの対象として意図されたリスク要素に起因する変動額に基づいて判定する。

ヘッジ取引開始時に行ったヘッジ効果の事前確認の結果がヘッジ手段の高い有効性を示している限り、たとえ上記により算出した変動額の比率が高い相関関係を示していなくても、その原因が変動幅が小さいことによる一時的なものと認められるときは、ヘッジ会計の適用を継続することができる。