金融商品会計実務指針#162

ヘッジ対象となり得る予定取引の判断基準

金融商品会計基準注解(注12)における「契約は成立していないが、取引予定時期、取引予定物件、取引予定量、取引予定価格等の主要な取引条件が合理的に予測可能であり、かつ、それが実行される可能性が極めて高い取引」に該当するか否かを判断する際には、例えば、以下の項目を総合的に吟味する必要がある。

(1) 過去に同様の取引が行われた頻度
当該取引と同様の取引が過去において一度も行われていない場合には、他の要素を十分に吟味する。

(2) 企業が当該予定取引を行う能力を有しているか
企業が、法的、制度的、資金的に当該取引を実行する能力を有しない場合には、ヘッジ対象になり得ないものとする。

(3) 当該予定取引を行わないことが企業に不利益をもたらすか
当該取引を行わないことが企業に不利益をもたらさない場合には、他の要素を十分に吟味する。

(4) 当該予定取引と同等の効果・成果をもたらす他の取引がないか
当該取引と同等の効果・成果をもたらす他の取引がある場合には、他の要素を十分に吟味する。

(5) 当該予定取引発生までの期間が妥当か

予定取引発生までの期間が長い場合ほど実行される可能性は低くなると考えられる。特に当該期間がおおむね1年以上である場合には、他の要素を十分に吟味する。

(6) 予定取引数量が妥当か
過去において行った同様の取引の数量を超過する部分については、他の要素を十分に吟味する。

なお、金融商品会計基準注解(注12)における「未履行の確定契約に係る取引」について、当該契約を解除する場合の対価が全く不要か又は軽微である場合は、上記と同様の検討を行い、ヘッジ対象になり得るか否かを判断する。