金融商品会計実務指針#170

予定取引実行時の処理

予定取引のヘッジについてヘッジ会計を適用したことにより繰り延べられたヘッジ手段に係る損益(繰延ヘッジ損益)は、当該予定取引の実行時において、次のように処理する。

(1) 予定取引により損益が直ちに発生する場合
ヘッジ対象とされた予定取引が、売上や金利など損益が直ちに発生するものである場合には、当該取引の実行時に、繰延ヘッジ損益を当期の損益として処理する。この場合の勘定科目は、原則としてヘッジ対象取引に係る損益科目(売上高、支払利息など)とする。ただし、為替リスクのヘッジによる損益については、為替差損益とすることができる。

(2) 予定取引が資産の取得である場合
ヘッジ対象とされた予定取引が、棚卸資産や有形固定資産などの資産の購入である場合には、繰延ヘッジ損益はこれらの資産の取得価額に加減し、当該資産の取得価額が費用計上される期の損益に反映させる。例えば、購入した資産が棚卸資産である場合には販売時の売上原価又は低価基準の適用による評価損、固定資産である場合には減価償却費にそれぞれ含まれることとなる。

ただし、取得する資産が貸付金等の利付金融資産である場合には、受取利息の発生に対応させるため、当該資産と区分して処理することができる。

(3) 予定取引が利付負債の発生である場合
ヘッジ対象とされた予定取引が、社債、借入金等の利付負債の発生である場合には、繰延ヘッジ損益は、当該負債とは区分して計上し、繰延償却法により当該負債に係る利息費用の発生に対応するように各期の損益に配分する。