金融商品会計実務指針#53

合理的に算定された価額

金融資産に市場価格がない場合、市場価格に準ずるものとして「合理的に算定された価額」が得られれば、それをもって当該金融資産に付すべき時価とする。ここで、市場価格がない金融資産とは、第48項の@からBまでに該当しない金融資産である。そのほか、以下のような金融資産をいう。

@ 何ら広く一般に価格が公表されていない金融資産又は買手と売手の双方の合意に基づく以外に価格が決定できない金融資産

A 取引所若しくは店頭において取引されているが実際の売買事例が極めて少ない金融資産又は市場価格が存在しない金融資産


市場価格がない場合又は市場価格を時価とみなせない場合、時価は、基本的に、経営陣の合理的な見積りに基づく合理的に算定された価額による。ここで「合理的に算定された価額」とは、以下のような方法で算定された価額をいう。

(1) 取引所等から公表されている類似の金融資産の市場価格に、利子率、満期日、信用リスク及びその他の変動要因を調整する方法
この場合の調整数値等は、恣意性を排除した合理的なものでなければならない。

(2) 対象金融資産から発生する将来キャッシュ・フローを割り引いて現在価値を算定する方法
この場合、変動要因等を織り込むことを考慮する。また、適用する割引率は、恣意性を排除した合理的なものでなければならない。

(3) 一般に広く普及している理論値モデル又はプライシング・モデル(例えば、ブラック・ショールズ・モデル、二項モデル等のオプション価格モデル)を使用する方法
この場合、会社が採用するモデル自体、及びモデルを用いて実際に算定する際のボラティリティ、利子率等の価格決定変数は、恣意性を排除した合理的なものでなければならない。

自社における合理的な見積りが困難な場合には、対象金融資産について上記(1)から(3)の方法に基づき算定された価格をブローカーから入手して、それを合理的に算定された価額とすることができる。また、情報ベンダー(投資に関する情報を提供する業者の総称で、経済指標、市場情報、時価情報等の提供を行っている。)がブローカーの平均価格や理論値等を算定して一般に提供している場合には、それを入手して合理的に算定された価額とすることができる。


金融資産に付すべき合理的に算定された価額は毎期同様の方法により入手し、評価の精度を高める場合を除き、みだりにこれを変更してはならない。