金融商品会計実務指針#73

評価差額の処理

金融商品会計基準(第三 .二.4)では、その他有価証券は、「時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は洗い替え方式に基づき、次のいずれかの方法により処理する。」とされている。なお、評価差額を算出する上で時価と比較される取得原価には、時価が著しく下落したときに帳簿価額を時価まで評価替えした当該評価額が含まれる。

@ 評価差額(評価差益及び評価差損)の合計額を資本の部に計上する全部資本直入法

A 時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額(評価差益)は資本の部に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額(評価差損)は当期の損失として処理する部分資本直入法

原則として、全部資本直入法を適用するが、継続適用を条件として部分資本直入法を適用することもできる。また、株式、債券等の有価証券の種類ごとに両方法を区分して適用することも認められる。

なお、資産の評価替えにより生じた評価差額が直接資本の部に計上され、かつ、課税所得の計算に含まれていない場合、当該評価差額の対象となった有価証券の簿価修正額は税効果会計上の一時差異に該当し(税効果会計に係る会計基準(第二.一.2.(1).A))、資本の部に表示される評価差額は税効果額を評価差額から控除した純額とされている(同第二.二.3)。この場合、評価差額から税効果額(評価差益に係るものは繰延税金負債に、評価差損に係るものは繰延税金資産に計上する。)を控除した後の金額(全部資本直入法を適用している場合には、評価差益部分と評価差損部分の純額)は、他の剰余金と区分してその他有価証券評価差額金として記載する。その他、評価差額に係る税効果会計の適用に当たっては、税効果会計に係る会計基準、会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」及び監査委員会報告第70号「「その他有価証券」の評価差額に対する税効果会計の適用における監査上の取扱い」を参照する必要がある。