金融商品会計実務指針#77

有価証券の消費貸借契約

有価証券の消費貸借契約等は、借手に売却又は担保という方法で自由に処分できる権利を与え、貸手に貸し付けた有価証券の使用を拘束するから、貸手は有価証券を貸し付けている旨及び貸借対照表価額を注記する。なお、当該有価証券については、貸し付け
る直前の有価証券の保有目的区分に従った評価及び会計処理を継続する。

借手は、借り入れた有価証券を売却又は担保という方法で自由に処分できる権利を有するから、売却により受入処理を行ったものを除き、自己保有部分と担保差入部分とに区分し、その旨及び貸借対照表日の時価を注記する。なお、借手が売却した場合、保管有価証券( 有価証券の発生要件を満たすため取得として認識したものを含む。以下同じ。)の発生と同時に消滅の認識を行う。

債券に係る消費貸借契約等で、返済条件が償還日に額面に相当する額を現金をもって返済するとされているときには、貸手は債券の消滅の認識を行うため、借手は債券の取得を認識して時価で計上するとともに、現金による返済義務を額面で未払計上する。この結果生じる、受け入れた債券の取得時の時価と額面との差額を資産又は負債として計上し、負債に計上された社債に適用される繰延償却法に準じて、債券の取得日から償還日に至るまで毎期一定の方法で償却する。

借手は、再借手に売却又は担保という方法で自由に処分できる権利を付与する債券の貸付けを行った場合、貸し付けている旨及び貸借対照表価額を注記により開示する。

借手が、借り入れた有価証券を、空売りした有価証券の引渡しに充当する場合は、それを資産として認識し、同時に返還義務を時価で負債として認識した上で、充当時における借り入れた有価証券の時価額を売付有価証券の帳簿価額と相殺し、差額を当期の益に計上する。