金融商品会計実務指針#83

満期保有目的の債券から売買目的有価証券又はその他有価証券への振替

満期保有目的の債券に分類された債券について、その一部を売買目的有価証券又はその他有価証券に振り替えたり、償還期限前に売却を行った場合は、満期保有目的の債券に分類された残りのすべての債券について、保有目的の変更があったものとして売買目的有価証券又はその他有価証券に振り替えなければならない。さらに、保有目的の変更を行った事業年度を含む2事業年度においては、取得した債券を満期保有目的の債券に分類することはできないものとする。

ただし、一部の債券について、以下のような状況が生じた場合又は生じると合理的に見込まれる場合には、当該債券を保有し続けることによる損失又は不利益を回避するため、一部の満期保有目的の債券を他の保有目的区分に振り替えたり、償還期限前に売却しても、残りの満期保有目的の債券について、満期まで保有する意思を変更したものとはしない。したがって、これらの債券を売買目的有価証券又はその他有価証券へ振り替える必要はない。

@ 債券の発行者の信用状態の著しい悪化
A 税法上の優遇措置の廃止
B 重要な合併又は営業譲渡に伴うポートフォリオの変更
C 法令の改正又は規制の廃止
D 監督官庁の規制・指導
E 自己資本比率等を算定する上で使用するリスクウェイトの変更
F その他、予期できなかった売却又は保有目的の変更をせざるを得ない、保有者に起因しない事象の発生

満期保有目的の債券を、担保差入、現先取引、レポ取引又は証券貸借取引の対象とした場合であっても、その契約期間が債券の償還期限と同じか又はそれより前となるとき及び返還される債券が実質的に同一であるときには、満期保有目的の区分を変更しない。

満期保有目的の債券について、その保有目的が変更され、又はその一部を売却したため残りの銘柄の満期保有目的が否定されたことにより、保有目的区分を売買目的有価証券又はその他有価証券に変更するときは、変更時の償却原価をもって振り替える。