配当所得に係る源泉税
- 米国居住者及び国内会社に対する配当の源泉税
- 米国では、日本と違い配当を行う際の所得税源泉徴収はありません。配当を受けとった個人あるいは法人は年度末のTax
Returnで申告します。(なお、法人については、20%以上を保有している会社からの配当については80%、20%未満保有の会社からの配当については70%について、課税所得から控除することができます。)
- 国外居住者及び外国会社に対する配当の源泉税
- 国外居住者及び外国会社に対して配当を行う場合は、30%の源泉徴収が行われます(IRC§1441,1442)。配当を受け取った外国居住者及び外国会社はTax
Retunを提出する必要がなければ、源泉を受けた段階で課税額は確定します。源泉税についてはこちら。
- 日米租税条約による修正
- 日米租税条約の12条により、配当に対する源泉徴収は15%が限度とされていますので、米国会社から日本居住者(個人・法人)への配当は15%の源泉が徴収されることになります。また、もし配当を受け取る人(個人・法人)が配当を行う法人の議決権のある株式の10%以上を有している場合、配当に対する税額は10%となります。
<注意点>
なお、議決権の10%以上を保有していることにより、10%の源泉税を適用した場合、配当を受け取った日本法人は外国法人用の税務申告書Form1120に租税条約による恩典を受けている旨を報告するためのForm8833を添付して提出する必要があります。これらの申告書は期末から6ヶ月めの15日が期限となります(たとえば3月決算の法人であれば9月15日)なお、これらはあくまで10%の軽減税率を適用する場合のみで、通常の15%が適用される場合は不要です。 |
- 例外規定
- 上記の通り、国外居住者・外国法人に対する配当は原則で30%(当該国外居住者・外国法人が日本居住者の場合は租税条約により15%)源泉徴収が行われますが、源泉徴収が免除される制度があります。それは80%以上の所得が国外所得(IRC§861(c)(1))である会社が行った配当については、配当x(国外所得/全所得)の金額だけ源泉徴収を受けないというものです(過去3年間の実績で算出します)。これはIRC§1441(b)(10)で規程されています(これは非居住者個人に対する規程ですが§1442で会社にも準用されています)。ちょっと分かりにくいので、簡単な例をあげれば、ある日本居住者が株主である米国法人がその全所得を日本国内で生み出しているとします。この場合は、その日本居住者に対する配当はまったく源泉徴収を受けません(国外所得=全所得だから)。
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