米国連邦税−配当にかかる源泉税








国内・国外源泉−要約

ある所得の源泉が米国内か米国外か判断する基準をまとめると以下の通りとなります。

国内 国外
利子(追加説明 支払者が米国居住者 支払者が米国非居住者
配当(追加説明 米国法人からの配当 外国法人からの配当
人的役務所得
(給料、賃金等)
米国国内で役務提供 国外で役務提供
不動産賃貸料 不動産の所在地は米国 不動産の所在地は米国以外
不動産売却益 不動産の所在地は米国 不動産の所在地は米国以外
棚卸資産の売却益(他から購入して再販売するケース) 販売が米国国内(=米国国内で所有権が移転) 販売が国外(=国外で所有権が移転)
棚卸資産の売却益(国内製造して海外販売するケース) 独立価格法か50-50法を用いて国内源泉と国外源泉に按分する。
有価証券の売却益 売却者が米国法人・米国居住者 売却者が外国法人・米国非居住者
ロイヤリティ
(特許、商標権等)
米国内でその権利を使用している 米国内でその権利を使用していない
利子について
【原則】
利子収入については、いわゆる債務者主義を採用しております。つまり利子の支払者が外国法人・非居住者の外国人であれば、その利子の源泉は国外ということになります。また逆に支払者が米国法人・米国居住者(米国市民及び居住者の外国人)であれば、国内源泉となります。なお、米国合衆国政府、政府関係機関あるいは地方政府(州・市等)が支払った利子も米国源泉となります。

【例外1−80%テスト】
米国法人・米国居住者から受け取った利子は、上記の通り原則として米国国内源泉所得となります。しかし、これには例外があります。それは、その米国法人・米国居住者がその所得を主に国外の事業活動から得ているケースです。もっと厳密に言うと、過去3年間において、その所得の80%以上を国外の事業活動から得ている場合は、当該法人・個人から受け取る利子は国外所得に区分されます。ただし、もし利子の受取者が当該法人・個人の関連当事者である場合は、国外所得の全所得に対する割合分だけの利子が国外所得となります。以上を表にまとめると以下のようになります。
米国法人・米国居住者からの利子 利子の源泉地
その所得の80%以上が
国外所得
非関連当事者からの受取の
場合
全額が国外
関連当事者からの受取 (国外所得/総所得)x利子が国外
その所得の80%未満が国外所得 全額が国内

【例外2−米国銀行海外支店】
米国銀行の海外支店から受け取った預金利子は国外源泉所得とされます(海外支店も米国法人の一部であるため、原則的には国内法人からの利子として国内源泉所得となりますが、これはその例外規定です)。

【例外3−国内居住者が保有している国外会社】
国内居住者(国内法人・居住者)に50%以上保有されている国外会社の支払った利息については、その国外会社の所得のうち米国国内源泉からの部分に応じた利子が国内源泉所得となります。ちょっとわかりにくいのですが、海外会社からの受け取った利子は原則国外所得となりますが、もしその会社の半数が米国居住者に保有されており、かつその会社の所得が米国を源泉としている場合は、利子のうちその会社の米国源泉所得に応じた部分を、国内所得とするということです。なお、この規定は外国税額控除の限度額を算出する際、国外所得を計算する場合にのみに適用されます。

【例外4−海外法人の米国支店】
海外法人の米国支店が支払った利子は、国内法人が支払ったものとして取り扱われるため、国内源泉所得となります。

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配当について

【原則】

配当についても支払者の居住地が源泉の判断基準となります。つまり、配当の支払者が国内法人であれば国内源泉、外国法人であれば国外源泉となります。

【例外1−25%テスト】
米国法人から受け取った配当は、上記の通り原則として米国国外源泉所得となります。しかし、これには例外があります。それは、その外国法人が米国国内での事業所得を有している場合です。もうちょっと厳密に言えば、過去3年間において、所得の25%以が米国事業に関連するものである場合は、配当に米国事業からの所得の全所得に占める割合を乗じた額が国内源泉所得とされます。例をあげます。いま外国Co.という外国会社から配当を考えます。その外国Co.の所得のうち40%が米国事業関連所得であれば、外国Co.からの配当の40%は米国国内源泉所得となります。

【例外2−国内居住者が保有している国外会社】

国内居住者(国内法人・居住者)に50%以上保有されている国外会社の支払った配当については、その国外会社の所得のうち米国国内源泉からの部分に応じた配当が国内源泉所得となります。ちょっとわかりにくいのですが、海外会社からの受け取った利子は原則国外所得となりますが、もしその会社の半数が米国居住者に保有されており、かつその会社の所得が米国を源泉としている場合は、利子のうちその会社の米国源泉所得に応じた部分を、国内所得とするということです。なお、この規定は外国税額控除の限度額を算出する際、国外所得を計算する場合にのみに適用されます。

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非居住者の外国人あるいは外国法人は、米国国内源泉の所得について課税を受けます(課税方法は総合課税か源泉課税のいずれにかになります)。また、居住者あるいは国内法人にとっても所得が国内か国外かは外国税額控除の限度額に影響してきます。従って、ある所得が米国国内を源泉とするかどうかの判断、居住者・非居住者を問わず非常に重要です。