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州の課税権
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州の課税権


どの州で課税されるか


米国のそれぞれの州は、独自に州の税制を持っております。州が課す代表的な税金としては@所得税(フランチャイズ・タックスと呼ぶ州が多い)とA売上税・使用税です。

例えば、カリフォルニア州で会社を設立し、同州内で店舗を持ち物品販売を行う場合は、カリフォルニア州税が課されるのは明らかでしょう。では、デラウエア州で会社を設立し、本社をカリフォルニアに設けて在庫をニューヨーク州に保有し、ミシガン州の顧客に販売し、さらにイリノイ州の拠点からアフターサービスを提供する場合、この会社はどこの州から課税されるのでしょうか?これを言い換えれば、ある州はある会社に対していかなる場合その課税権を有することになるかということです。こういう場合に、州に課税権があるかどうかの判断は「Nexus(ネクサス)」というものの有無に基づき行うこととされます。

ある会社が特定の州から課税を受けるかどうかは、その会社がその州にNexusを有しているかどうかによります。Nexusがその州に有しているとみなされると、当該州から課税されてしまうのです。このNexusを英和辞書で調べると「連鎖」あるいは「関係」となると思いますが、具体的にはどのようなものでしょうか。Nexusとは「州に課税を受けるほどの州との十分な関係」と説明されます。抽象的な説明でわかりにくいと思いますが、具体的な事例でみていきます。

Nexusの有無については、各州で判例(Case)の形で基準が形成されています。例をいくつかあげてみます。

物理的施設等の存在に関連してNexusが認定されたケース
判例
オフィススペースを賃貸した場合はNexusがある フロリダ州
プロモーション用の機材を州内の小売業者にリースした場合はその州にNexusを有する コネチカット州
販売商品の在庫を州内に保管した場合はその州にNexusを有する ニューヨーク州
トレードマークを州内の企業にライセンスした場合そのライセンサーは州にNexusを有する フロリダ州

従業員の存在に関連してNexusが認定されたケース

判例
他州の会社が従業員を派遣して事務的・技術的なサービスを提供した場合Nexusを有する ニューヨーク州
製品保障・修繕のために従業員を州に常駐させる場合、その会社は州にNexusを有する カリフォルニア州
販売・サービスに従事する従業員を常駐させる場合、その会社は州にNexusを有する ミシガン州

単にセールス担当者が出張ベースである州で販売活動を行うだけではNexusを有することにはなりません。次のその例です。

判例
単に、他州の従業員が製品購入の勧誘活動を行っただけでは州所得税の課税対象とならない ニューヨーク州

どのように課税されるか(所得税について)

ある会社がある州にNexusを有している場合、その州から課税をされるわけですが、会社の所得全てを対象として課税されるわけではありません。会社の全所得のうち一定の計算式で州への帰属額を按分計算することになります。基本的にはそれぞれの州が独自に自分の州への按分計算方法を設けているものの、大部分の州では@売上比率、A資産比率及びB人件費比率それぞれの平均値をもって自分の州への所得按分額を算出することとしています。

なお、事業所得以外の所得、例えば株式の配当、利子、ロイヤリティ等(Passive Incomeといいます)は按分計算の対象とならず、つねに本拠地の州で課税されることになります。従って、このような所得がある会社については、それらが課税されない州、例えばデラウエア州とかネバダ州に会社を設立することで、州税の節減が図れるわけです。




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