金融商品会計実務指針#70&71

満期保有目的の債券の会計処理
(償却原価の算定)

期保有目的の債券は、「債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。」とされている。取得価額と債券金額との差額(以下「取得差額」という。)が発生する要因には、クーポンレートと取得時の市場利子率との調整に基づくものと債券の発行体の信用力の変動や減損及びその他の要因があるが、償却原価法の対象となるのは、取得差額が金利の調整部分(以下「金利調整差額」という。)により生じた場合に限定される。

償却原価法は、有価証券利息をその利息期間(受渡日から償還日まで)にわたって期間配分する方法であり、以下の利息法と定額法の二つの方法がある。原則として利息法によるものとするが、継続適用を条件として、簡便法である定額法を採用することができる。

(1) 利息法とは、債券のクーポン受取総額と金利調整差額の合計額を債券の帳簿価額に対し一定率(以下「実効利子率」という。)となるように、複利をもって各期の損益に配分する方法をいい、当該配分額とクーポン計上額(クーポンの現金受取額及びその既経過分の未収計上額の増減額の合計額)との差額を帳簿価額に加減する。

(2) 定額法とは、債券の金利調整差額を取得日(又は受渡日)から償還日までの期間で除して各期の損益に配分する方法をいい、当該配分額を帳簿価額に加減する。

(売却原価の算定)

第83項のただし書に該当する事由により、満期保有目的の債券を償還期限前に売却した場合は、売却価額と売却時の償却原価との差額を当期の売却損益に計上する。この場合、償却原価法として利息法を採用しているときの売却原価の算定は先入先出法による。

なお、抽選償還又は発行者のコール・オプションの行使により期限前償還が行われた場合の償還時の償却原価と償還額との差額は、原則として、償還された期の有価証券利息に含める。