FAS133

キャッシュフローヘッジ

1.キャッシュフローヘッジとは

キャッシュフローヘッジとは、既存の資産・負債及び予定取引から生じる将来のキャッシュフローが変動するリスクをヘッジするものです。

2.キャッシュフローヘッジの例

ヘッジ対象 リスク ヘッジ手段
変動利率の債務 利率が上昇することで、財務コスト(支払利息)がアップしてしまうリスク 固定払・変動受の金利スワップ
原油購入の予定 原油価格が上昇すると、購入価額が上昇してしまうリスク 当該原油について先物契約(買い)を締結し、購入価格をFIXする

3.予定取引の定義

予定取引の定義は、将来起こりうる取引であって、それが確定契約(Firm Commitment)の定義に合致しないもの、となっています。

従って、予定取引は以下の2つのパターンがあることになります。
@契約・合意による取引であるが、確定契約 (firm commitment)の要件を満たさないもの
A文字通り、単に予定されている取引

4. キャッシュフローヘッジ適用の要件
  →ヘッジ会計の要件参照

5. ヘッジ有効性の検証

キャッシュフローヘッジの有効性は、ヘッジ手段の時価変動と、ヘッジ対象の将来キャッシュフローの現在価値をを比較して行います。

  →ヘッジ有効性も参照
  
6.キャッシュフローヘッジの会計処理
@デリバティブ(ヘッジ手段)について

時価評価し貸借対照表に計上する。評価損益のうち、ヘッジ効果が有効な部分は資本の部に包括利益として計上される。ヘッジ効果が有効でない部分は直ちに損益認識される。
なお、包括利益に計上された金額は、ヘッジ対象(資産・負債・予定取引)に関連する損益が認識された時点で、損益認識される(包括利益から損益への振替)。

  @−1包括利益に計上されたヘッジ手段の評価損益が、P/L上認識されるタイミングの例示
  @−2有効な部分と有効でない部分について

Aヘッジ対象について

なにもする必要はない


7.キャッシュフローヘッジ会計を終了しなければならないケース
次の場合は、キャッシュフローヘッジ会計を終了しなければならない。

キャッシュフローの要件を満たさなくなった(例:予定されていた取引が行われなくなったことが判明した)
デリバティブが期間満了、売却、解約あるいは行使された
ヘッジ指定を解除した

ヘッジ会計終了後、当該デリバティブを保有し続ける場合、終了日以降のデリバティブの公正価値変動額は損益認識される(ただし、当該デリバティブが新たにヘッジ指定されるケースは除く)。

ヘッジ会計終了日以前に包括利益に計上されたデリバティブの評価損益については、ヘッジ会計終了により直ちに損益に振替える必要はない(ヘッジ対象取引の損益が認識される期間に渡り振替えればよい)。ただし、予定取引のキャッシュフローのヘッジの場合で、当該予定取引が当初の取引予定日(あるいはその2ヶ月後)までに実行されないことが明らかな場合は例外で、直ちに損益に振替える必要がある。