金融商品に係る会計基準

第三 金融資産及び金融負債の貸借対照表価額等(含会計処理)

一 債権

 受取手形、売掛金、貸付金その他の債権の貸借対照表価額は、取得価額から貸倒見積高に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額とします。ただし、債権を債権金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債権金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額から貸倒見積高に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額としなければなりません。(注5)

実務指針105 債務者の信用リスクを反映した債権の取得価額と償却原価法
実務指針130 売上債権等に含まれる金利部分の会計処理

二 有価証券

売買目的有価証券

時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券)

時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理します。
→実務指針66,67売買目的有価証券の会計処理

満期保有目的の債券

満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券)

取得原価をもって貸借対照表価額とします。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければなりません。(注5)(注6)
→実務指針70.71満期保有目的の債券の会計処理

子会社株式及び関連会社株式

取得原価をもって貸借対照表価額とします。

その他有価証券

(売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券)

時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は洗い替え方式に基づき、次のいずれかの方法により処理します。

(1) 評価差額の合計額を資本の部に計上する。

(2) 時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額は資本の部に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額は当期の損失として処理する。

 なお、資本の部に計上されるその他有価証券の評価差額については、税効果会計を適用し、資本の部において他の剰余金と区分して記載しなければなりません。(注7)
→実務指針73 評価差額の処理
  実務指針74 償却原価法の適用
  実務指針76 売却原価の算定

市場価格のない有価証券

市場価格のない有価証券の貸借対照表価額は、それぞれ次の方法によります。

(1) 社債その他の債券の貸借対照表価額は、債権の貸借対照表価額に準ずる。

(2) 社債その他の債券以外の有価証券は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。

実務指針58 有価証券の範囲
実務指針59 有価証券の保有目的による区分
実務指針60 株式の時価評価
実務指針61 債券の時価評価
実務指針62 証券投資信託の時価評価
実務指針64 証券投資信託及び合同運用の金銭の信託の評価
実務指針77 有価証券の消費貸借契約
実務指針78 有価証券の信託
実務指針79 売却原価の算定区分
実務指針80-89 有価証券の保有目的区分の変更
実務指針90 その他有価証券に係る評価差額処理方法の変更
実務指針94 有価証券の未収配当金・利息等-株式
実務指針95 有価証券の未収配当金・利息等-債券
実務指針96

有価証券の未収配当金・利息等-証券投資信託

実務指針127 運用結果が元利に反映される社債等の会計処理

時価が著しく下落した場合

 満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式並びにその他有価証券のうち市場価格のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損失として処理しなければなりません。

 市場価格のない株式については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をなし、評価差額は当期の損失として処理しなければなりません。

 なお、これらの場合には、当該時価及び実質価額を翌期首の取得原価とします。

実務指針91 市場価格又は合理的に算定された価額のある有価証券の減損処理
実務指針92 市場価格のない株式の減損処理
実務指針93 時価のない債券の減損処理

 有価証券の表示区分

 売買目的有価証券及び一年内に満期の到来する社債その他の債券は流動資産に属するものとし、それ以外の有価証券は投資その他の資産に属するものとします。

三 運用目的の金銭の信託

 運用を目的とする金銭の信託(合同運用を除く。)は、当該信託財産の構成物である金融資産及び金融負債について、本基準により付されるべき評価額を合計した額をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理します。(注8)

実務指針97-1 金銭の信託の範囲と構成物の処理
実務指針97-2 金銭の信託の保有目的区分
実務指針98 金銭の信託の会計処理
実務指針99 信託財産の受入れ
実務指針100 金融資産の信託受益権の保有者の会計

四デリバティブ取引

 デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は、原則として、当期の損益として処理します。

実務指針101 上場デリバティブ取引の時価評価
実務指針102-104 非上場デリバティブ取引の時価評価
実務指針138 クレジット・デリバティブ及びウェザー・デリバティブの会計処理

五 金銭債務

 支払手形、買掛金、借入金その他の債務は、債務額をもって貸借対照表価額とします。

 社債は、社債金額をもって貸借対照表価額とします。社債を社債金額よりも低い価額又は高い価額で発行した場合には、当該差額に相当する金額を資産又は負債として計上し、償還期に至るまで毎期一定の方法で償却しなければなりません。

実務指針126 金銭債務


*その他

実務指針131 利息の支払時期又は支払額が不規則な貸付金、借入金、社債等の会計処理
実務指針132 任意組合、匿名組合、パートナーシップ、リミテッド・パートナーシップ等への出資の会計処理
実務指針133 建設協力金等の差入預託保証金の会計処理
実務指針134 商品ファンドの会計処理
実務指針135 ゴルフ会員権等の会計処理
実務指針137 債務保証契約及び保証料の授受に関する会計処理
実務指針139 当座貸越契約及び貸出コミットメントの開示方法並びにコミットメント・フィーの授受に関する会計処理
実務指針140 相殺表示